『赤と青とエスキース』あらすじ
『赤と青とエスキース』は、青山美智子による連作短編集。物語は、メルボルンに留学中のレイが、日系オーストラリア人のブーと出会うところから始まる。ブーの友人である若き画家ジャック・ジャクソンが描いた「エスキース」という絵が、レイとブーの関係を象徴する作品となる。その後、絵は日本に渡り、額縁職人の空知や画廊の円城寺らの手を経て、時を超えて人々の人生に深く関わることになる。
『赤と青とエスキース』感想
本作の魅力は、何気ない日常の中に潜む「赤と青」の対比や、人生の中で交わる人々の思いを丁寧に描いている点だと感じた。特に、絵画の「エスキース」が象徴するように、未完成でありながらも完成された美しさが、登場人物たちの心情と重なり合う。
各章は独立していながらも、最後には全てが繋がる構成となっており、読者に驚きと感動を与える。「エスキース」を巡る人々の人生が、時間と空間を超えて交錯する様子は、まるで一枚の絵が描かれていくような美しさがある。
おすすめの人
- 人と人との繋がりや、人生の偶然に関心がある人
- 静かながらも深い感動を求める人
- 芸術や絵画に興味がある人
まとめ
『赤と青とエスキース』は、絵画を通じて人々の想いが繋がり、時間を超えて受け継がれていく様子を描いた美しい物語。青山美智子の繊細な筆致が光る一冊であり、読後には心に温かな余韻が残る。芸術と人間ドラマが融合した本作は、多くの読者の心に響く作品だと思う。