「最悪の男」が「愛おしい男」に変わる。『バッファロー’66』感想

『バッファロー’66』あらすじ

刑期を終え釈放されたビリーは、母親との電話でいくつか嘘をついてしまう。いもしない妻を連れて帰らなくてはならなくなったビリーは、通りがかりのレイラを拉致し、妻のふりをするようにを強要する。渋々従うレイラであったが、彼の過去を知るにつれて、次第に好意を持つようになるのだが、ビリーには、5年前彼を陥れたスコットへの復讐が残っていた・・・。

(Filmarksより:https://filmarks.com/movies/39027

『バッファロー’66』感想

良かった! 最初は、ヴィンセント・ギャロが演じる主人公ビリーのクズさにイライラしていた。レイラ(クリスティーナ・リッチ)を拉致して彼の実家に帰ったあたりから、少しだけ穏やかに見れるようになった。この映画で印象的だったのは、回想シーンの入れ方。すごく斬新だと感じた。

『バッファロー’66』感想 ※ネタバレあり

ここからはネタバレ含むので、未視聴の方はご注意を。ビリーは作中ほとんどのシーンでクズだった。レイラを拉致し、脅し、抑圧し、自分勝手。このビリーのキャラクターのせいで、本作を苦手だと感じる人もいると思う。実際、Filmarksで感想を見ていたとき、低評価のコメントの中には「ビリーの人柄が嫌い」というものが目立っていた。

だが最後。ビリーが敵視しているスコットをついに見つけたとき、これまでの回想シーンと同じ見せ方が出てくる。しかし、ここだけ回想シーンではなく、想像のシーン。「あぁ、救われないラストか」と思いきや、救いのないラストは嘘で、実際はレイラの元へ帰るために気持ちを切り替えたのだった。

大好きなのは、そのあと。近くのカフェ(?)へ入り、レイラが欲しいと言っていたホットチョコレートをオーダーする。大きいサイズで、「おいしく淹れろよ」と店主に言う。加えて、ふと目に入ったハート型のクッキーも購入。また、店内にいた見知らぬ男に「パートナーはいるか?」と聞き、その彼が「いるぞ」と答えると、「こいつにも、このハート型のクッキーを渡してくれ」「だが、お前が食うんじゃないぞ。パートナーに渡すんだぞ」と言う。

きっとビリーは初めて大切な人を見つけて、これまでにない幸せを感じ、一緒に過ごしたいという希望や嬉しさが溢れ出ていたのだと思う。不器用だが、愛おしいキャラクターだと感じた。

キャストについて

レイラを演じるクリスティーナ・リッチが、とても可愛かった。彼女は1980年生まれ、『バッファロー’66』は1998年製作なので、作中のクリスティーナ・リッチは17歳くらいだろうか。間違いなく可愛いのだけれど、少しふっくらしていて画面越しでも柔らかさを感じられるおかげか、よりリアリティのある作品になったと思う。レイラがもし、アン・ハサウェイやアニャ・テイラー=ジョイなど、美人でかっこいい印象の人が演じていたら、これほど没入感のある作品にはならなかったと思う。

さいごに

久しぶりに1990年代の映画を見た。数年前に『シザーハンズ』『ゴースト/ニューヨークの幻』『レナードの朝』『シンドラーのリスト』『トレインスポッティング』などを観て、その時代の映画が好きになった。最近はあまり見ていなかったのだが、『バッファロー’66』を観て、もう一度遡って少し古い映画を観たいと思った。