実話ベースのクライム映画、天使のような顔した殺人鬼『​​永遠に僕のもの』(2018年製作)

『​​永遠に僕のもの』概要

1971年、ブエノスアイレス。17歳のカルリートスは、他人の家に罪悪感なく潜り込み、金目のものを盗み出す。逃走の相棒は盗んだバイク。息子の行動を心配した両親は、カルリートスを転校させる。転校した先でラモンという荒々しい魅力を放つ男に出会い、二人は互いに犯罪のパートナーとして、さまざまな犯罪に手を染めていく。欲しい物は手に入れて、目障りな者の息の根を断つ。狂気と美しさから目が離せない、実在の人物をモデルにしたクライム映画。

少年犯罪をスリリングに描きつつ、映像はポップでスタイリッシュ。監督は「恐怖よりも美しさ」を強調している。音楽は70年代アルゼンチンのロックやポップスをふんだんに使用し、犯罪と青春の対比が際立っている。カルリートスのモデルとなったロブレド・プッチは1972年に逮捕されて以来、現在も服役しており、南米で最も長く服役している囚人とされている。

『​​永遠に僕のもの』感想

ブロンドヘアに魅惑的な瞳、艶やかな唇。天使のような顔をした殺人鬼カルリートス。後ろめたさを感じず軽やかに踊るように罪を重ねる彼の姿は、犯罪行為と分かっていても、観る者を陶酔させる。“南米のパリ”と呼ばれるブエノスアイレスの美しい街を舞台に、カルリートスと相棒ラモンが繰り広げる犯罪行為は見事。しかし次第に仲を違えていき…。最後の最後まで美しさを残したまま、幕を閉じる異色のクライム映画。

こんな人に観てほしい

犯罪映画が好き、カラフルで趣がある映像・街並み・インテリアが好き、スペイン語の響きが好きな人には特におすすめ。