『ひまわり』概要
『ひまわり』(原題:I Girasoli)は、1970年公開のイタリア映画で、戦争に引き裂かれた男女の愛を描いた作品。主演はソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニ。第二次世界大戦下、ナポリの女性ジョヴァンナと恋人アントニオは結婚するが、アントニオはソ連戦線へ送られ、消息を絶つ。
戦後、ジョヴァンナは夫を探してウクライナへ渡り、果てしなく続くひまわり畑で彼の行方を追い求める。そこで彼女が目にしたものは、戦争がもたらした残酷な現実と、避けられない運命だった。
本作は戦争が人々の人生や愛を容赦なく変えてしまう姿を、広大なひまわり畑の映像美とともに描き出す。切なくも壮大なラブストーリーとして、世界中で高い評価を受けた作品。
『ひまわり』感想
戦争で離れ離れになったカップルが、戦時下で翻弄されるストーリー。翻弄というには少し違う気もしますが、間違いではないでしょう。淡々としているけれど感情が丁寧に描かれていて、考えさせられることが多かった。ラストの感想を、観た人同士で語り合いたい。
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※以下、少々ネタバレあり
愛し合っていた男女が戦争で離れ離れになった末に、アントニオには新しい奥さんができたと知ったジョバンナ。この部分だけ切り取ると、「異国で新しい女の人を作って最低」と思えますが、映画を観ていると最低とは感じず、むしろやるせなさだけが残りました。
アントニオが生死の境をさまよう中、助けてもらった女性に特別な感情を抱くのも、その後ジョバンナと再会して複雑な感情の波に飲まれるのも、結局新しい妻との間には子供もいてそちら側との暮らしをとったことも、何もかも仕方ない。
本作を観ていると、ジョバンナに深く感情移入もしちゃいました。アントニオの状況を理解して割り切ることは、過去に相当愛し合って今も変わらず愛しく思われていると知ったときに取れる行動ではないはず。映画の最後に出てくる一面に咲くひまわり畑の様子は、悲しさに拍車をかけるようだった。太陽に向かって顔を向けるひまわりは明るさの象徴であるはずなのに、とても悲しく感じた。
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もう一度、日曜の朝から時間を取れるときに、ゆっくりと観たい。散々悲しいとかやるせないとか言ったけれど、心温まる映画。
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『ひまわり 50周年HDレストア版』予告編