実写版『秒速5センチメートル』感想

10月某日、仕事終わりに映画『秒速5センチメートル』を見に行った。良かった。この記事では感想を書いてみる。ネタバレというネタバレはないはずだが、これから見にいく人は読まないことをおすすめします。

『秒速5センチメートル』とは

『秒速5センチメートル』は、2007年に公開された新海誠監督のアニメーション映画。少年・遠野貴樹と少女・篠原明里の恋愛を軸に描かれる。このアニメの長さはほぼ1時間と短い。対して、2025年上映の実写版映画『秒速5センチメートル』は、2時間。原作からほぼ倍の長さになった実写版では、どう物語が描かれるのか?

 

実写版『秒速5センチメートル』感想

観る前は、アニメよりもほぼ2倍の長さになったことに、どう描くのだろうと疑問があった。観た上での感想は、アニメの重要(と私は思っている)な部分は忠実に描かれ、補足を入れてもすべてが違和感なく繋がれているということ。よく実写版では批判されることもある気がするが、本作ではあまり出ないんじゃないだろうか。

 

天文 × 人

「『秒速5センチメートル』は、桜の花びらが舞い落ちるスピードのこと。」「30歳。ちょうど地球を一周分歩いたくらい」など、自然や天文と、人を結びつける表現がいくつか出てきた。自然・天文という無限の可能性を秘めていて壮大なものと、それらと比較すれば小さな存在の私たち人が結びつけられることで、日々の無力感や虚無感を否定して、存在を肯定してくれるように感じた。そういえば、同じく新海誠監督の『君の名は。』も、町に彗星が落ちてくるとされていた。この監督は宇宙が好きなのだろうか。

1対1だけじゃない、相手には相手の人生がある

大人になった貴樹くんは、16年ほど前に明里と交わした約束を守るため、加えて「会えるかも」という期待を持ってなのか、約束の場所へ向かう。しかし明里は来ない。明里はすでにパートナーを見つけていた。そして貴樹くんには「その約束を忘れていてほしい」とまで言っていた。

その瞬間、昔どれだけ思い合っていても、時間が経てば変わるし、「私とあなた」だけじゃなく、「あなた」にはその人の人間関係が別にあることに気付かされた。

【info】実写版『秒速5センチメートル』公式サイト