『スリーパーズ』あらすじ
舞台は1966年、ニューヨーク州マンハッタン地区の一つ、ヘルズ・キッチン(Hell’s Kitchen)。4人の悪ガキがイタズラを思いつく。仲間の1人が路上のホットドック売りの人から金を払わず逃走し、店主が持ち場から離れるうちにたくさん盗もうという魂胆だった。しかしこのイタズラがヒートアップして、しまいには4人の運命を変えることに…。
4人は少年院に入れられる。そこには札付きのワルが集まっていた。看守は少年同士の殴り合いの喧嘩をすぐには止めず、ゆっくりと近づいていく。悪ガキが言った「記憶のそこに沈めてしまった」というセリフが、少年院での生活のひどさを物語っている。4人は少年院で、看守たちに激しく虐待されていたのだ。
ときは変わって1981年、少年院を出て、それぞれ刑事、記者、ギャングと違う道を歩んでいた4人は、ある事件をきっかけに、幼き日の復讐劇を始める。
『スリーパーズ』感想
約2時間半という長さにも関わらず、一気に観終えてしまった。重く暗い話ではあるが、幼いころの無邪気さや純粋さ、少年院時代の闇、大人になってからの憎悪とある種の正義感。良いも悪いもさまざまな感情が描かれていて、一言で表すのは難しいが「良い」映画だった。
※以下ネタバレを含みます。
印象に残っているシーンを2つ挙げよう。1つ目は、少年院の地下にある長い廊下。この廊下の先で少年たちの「傷」になる行為が行われるのだが、閉ざされた上に誰にも声が届かない。この廊下は、彼らが感じた絶望の象徴だと思う。
もう1つはラストシーン。復讐を果たした4人に、幼いころの仲間1人を加えた5人が、テーブルを囲んで賑やかな時間を楽しむ。同志と言える仲間の前では、無邪気な子ども時代に戻ったように朗らかで楽しげに話せるのだと、この映画で唯一穏やかさを感じた。