【感想】李 琴峰の『生を祝う』を読んで

手に取った理由

最近、山口 美桜さんの『禁忌の子』を読んだ。この作品のテーマは、私の解釈も交えてざっくり言うと「生殖医療の倫理と代償」。医療などの理系の話に興味を持ちはじめたこともあり、とても興味深く読めた。

【ネタバレなし感想】山口 美桜『禁忌の子』を読んで/NOTICE

『禁忌の子』を読み終わり、ネットでいろいろな人の感想を読んでいたときに関連本のように紹介されていたのが、今回読んだ『生を祝う』。出生前に、胎児の「産まれたいか、産まれたくないか」という意思を確認する「合意出生制度」が法律で定められた近未来が舞台。そのテーマに興味を持った。

生を祝う』あらすじ

人間が完璧でない以上、どんな制度にも必ず欠陥は存在する。出生前に胎児の意思を確認する「合意出生制度」が法制化された近未来の日本。胎児には遺伝や環境などの要因を基にした「生存難易度」が伝えられ、生まれるかどうかの判断がゆだねられる。出生を拒んだ胎児を出産した場合は「出生強制」の罪に問われる世界で、同性婚をしたパートナーとの間に人工妊娠手術により子を宿した主人公・立花彩華。彼女が、葛藤しながらくだす決断とは―。

引用:紀伊國屋書店(https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784022518033

『生を祝う』を読んだ感想

私はそれほどハマらなかった。事前に見た「読書メーター」とかでのレビューでは、「心に残った」「生まれてきたことを良いと思っている」などの声が目立ったので期待していたが、ところどころの設定に違和感があって、この作品の世界に入り込めなかったのだと思う。

例えば作中で、主人公の彩華が2047年生まれの28歳とわかる。つまりは作品の舞台は2047年ごろなので、今から約50年後。この世界では「建築法でバリアフリーが必須」「新宿にはゴミ拾いロボットがいる」などとある。「建築法でバリアフリーが必須」はそうなっているかもしれないと思う一方で、50年も経てば「ゴミ拾いロボット」以上の、何か画期的なものが生まれていると思った。

何よりも、ネットで「キーワード検索」をしている点が気になった。この本の初版は2021年なので仕方ないとは思うが、2026年では生成AIに尋ねることも増えた今、「2047年に『キーワード検索』をしているのは、時代が遅れすぎじゃないか」と感じた。未来をテーマに扱うときには、場所を宇宙にするとか、砂漠にするとか、読者がなかなか行けない場所にしないと難しいと感じた。

「合意出生制度」も50年後に完全にできあがるような制度かどうかを考えると、やや疑問。一部の人が希望して「合意出生」をする世界はイメージできる。しかし誰もが「合意出生」をしたり、合意しなかった胎児を産む人への批判が強かったり状態は、50年で作り上げることは難しいと思う。祖父母の代まで「合意出生」があるような世界じゃないと、なかなか当たり前にはならないんじゃないかと思う。

まとめ

私自身、小説を書かないので小説を書ける人は手放しにすごいと思う。この本を読んで良かったと言う人も非常に多いし、割合も高いと思うので、気になる人は手に取ってみてほしい。